[1] 漢方の『考え方の根本』を知って下さい。
(1) 漢方は恒常性こうじょうせい(=ホメオスターチス)を保てる様にする⇒自然治癒力を発揮させて正常な状態に戻れる様にするやり方をします。
A 例えば、
副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)・女性ホルモン・消化剤などの様に、西洋医学は「不足は『その物を補充』します」が、漢方では「不足分を『自分で補充出来る』様な身体に立て直そう」と考えます。
B 又、例えば、睡眠薬・精神安定剤・降圧剤・昇圧剤・鎮痛剤・解熱鎮痛剤・下剤・咳止め・袪痰剤などの様に、痛みや血圧・睡眠・咳・便秘などの症状に対しても、西洋医学は「その症状を直接解決させる方法」が行われてますが、漢方では「何故そうなるのかの原因を発見して、その原因を解決して症状を消していく」という考え方をします。
(2) 生命や健康を維持する力を漢方では『正気』(せいき)と言い、病気を引き起こしてしまう力を『邪気』(じゃき)と言います。
そして、[正気>邪気]なら健康状態[正気<邪気]なら病気と考えます。
西洋医学は『病気の原因となる邪気をやっつけて治そう』とし、
漢方は『正気を高めて病気を治そう』とします。
A 例えば、西洋医学的発想では、抗生物質で菌(邪)を退治しようとし、除菌・抗菌・殺菌・滅菌という取り組み方をしますが、漢方では体力・気力・抵抗力・免疫力・自然治癒力・生命力など『○○力』という『正気』を高めて、菌(邪)が存在出来ない身体にし、結果的に菌を追い出して(邪が出て行って)しまうと考えます。
(3) 漢方は自然の仕組みに注目し、全体観に立って考えます。
A 例えば、西洋医学では冷やす方法が中心の整形外科的な痛みに対して、漢方では陰陽説によって、熱感があれば冷やし・冷えていればあたためて「正常な状態に戻す」やり方を行います。また、内服薬でも冷やす薬・あたためる薬を使い分けて「正常に戻す」というやり方を行うのです。
B 又、「膀胱炎の菌」・「腎結石の石」などを大量の水分を摂って尿で流し出そうとしたり、痰を切れ易くする為に水分を沢山摂る様な事は漢方では行いません。
水分を多く摂る事は病気になっている膀胱に一層の負担をかける事になり、又、水分補給は「痰の原料供給」となって反って痰が増えると考えるからです。
更に、水分を多く摂ると泌尿器の仕事を増やして重労働を強いる事になり、重大な問題である『腎虚』(じんきょ)を引き起こしてしまいます。
詳細は、私の『水分の摂り過ぎの害・点滴の害』の小冊子をご覧下さい。

※上記の『腎虚』については、詳しく解説する腎虚のページをご覧下さい。
C 西洋医学は科に分かれていて、皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科・歯科・婦人科・肛門科・脳外科・呼吸器内科・循環器内科・消化器内科・泌尿器科・精神科などと、身体を部分でとらえたり、身体と心を別々にとらえて別々の医師が治療を担当しますが、漢方は全てを関連づけて1人の治療家が担当します。
(4) 漢方薬の剤型は効き目を左右します。
昔の中国の人は、体験から得た最も良く効く服用法を処方名の最後につけて指示しています。
例えば
  1. 葛根の湯(スープ)は煎じ薬
  2. 安中の散は、そのまま粉末にした物
  3. 八味の丸は、散をハチミツで丸めた物
という風になっています。
現在の錠剤や顆粒は湯(煎じ薬)を加工した物です。従って本来の服用法が、
  • ○○湯なら効き目が目減りします。
  • ○○散や○○丸なら、根本的に指示とは異なる服用法と言えます。
どうしても煎じ薬が飲めない人には、私が経験を通じてつかんだ工夫(効き目を補う物の併用など)をしています。
(5) 「どの位で治るか」は誰もが知りたい事です。
が、『病歴』(こじれ具合)や『今までの治療法』・『一人でいくつの病気や症状があるか』という事の他、「古村和子流の治療作戦を何%取り入れてくれるか」・「早く治す為の古村和子流漢方の衣食住の工夫をどれだけ実行してくれるか」が決め手になります。
従って、個々のケースで異なりますので、一人一人にていねいにお答えしています。
(6) 漢方は『排泄の医学』です。
漢方を行うと、私達の身体自身が持つ『悪い物を体外に追い出して治ろう』とする仕組みが発揮されます。でも、皮膚病がパーッと出たり下痢をしたりしますので、たいていの人は漢方が合わないと思ったり悪くなってしまったと思ってしまうものです。でもせっかく治ろうとしているのですから、その時の変化を「悪化した」ととらえてしまわない為の知識を持ってほしいと思います。

@大便・・・・・・ 便がゆるんだり回数が増えたり、下痢になる人もいます。
出た後サッパリしていれば大丈夫。間もなく落ち着きます。
A尿・・・・・・・・ 回数や量が増えます。しかし、いつまでも続く訳ではありません。体内の悪い水分が出てしまうと、やがて落ち着きます。
B生理・・・・・・ 量が増えたり、大きな塊が出たり、月2回来たりすることがあります。
「排泄してきれいにしよう」という変化なので、ホルモン剤などで無理に止めずに様子をみて下さい。「ホルモン剤で止めたらすごく体調が悪くなった」という人がいました。
C皮膚・・・・・・ ステロイド剤のリバウンドをはじめ、皮膚からの排泄による「いったんパッーと出る」変化は「覚悟」を要します。健康なお肌を取り戻す為には避けられないハードルと言えますので頑張って下さい。尚、私のお店三健堂では『パーッと出る』のを最小限にする様々な工夫をしています。
D耳だれ・・・・ 中耳炎などで耳の中に炎症が起きていると、[炎=火+火=火事(?)]を消そうと生体防衛機能として体内から水分が分泌されます。
漢方薬や針灸で治療すると、その恒常性(こうじょうせい=ホメオスターチス=正常に戻ろうという仕組み)が発揮されて、耳の中から水(浸出液)やウミが排出して来ます。
現代医学では、水だれ等が出てくる事は悪い事ととらえ、抗生物質や手術(鼓膜を破る手術や常時外へ排出する為の管をつける手術・耳の外へ耳だれが出ない様に封じ込める手術など)という方法が行われます。それにより、難聴や中耳炎の繰り返し等の問題が起きて来ます。
漢方では、漢方薬や針灸によって耳だれが速やかに排出する事がありますが、これを『効あり』と考えます。『悪い物が排出されてやがて出てこなくなってしまう事が完治』ととらえますから。
E鼻汁・・・・・・ 蓄膿症や鼻炎・鼻柱隔弯曲症・副鼻腔炎などで鼻がつまったり鼻汁が出る時は、耳だれと同様に炎症をさます為の水分の分泌が鼻の中で行われているのです。漢方薬や針灸の治療を行うと耳だれと同じ様に体外に排泄して治ろうという仕組みが作動します。
一見悪化した様にみえる『鼻汁がどんどん出る』という事は、『効ありの証拠』です。鼻汁が沢山出たら喜んで下さい。やがて出なくなります。
(7) 瞑眩(メンケン)現象という好転反応も正しく理解しましょう。
これは漢方独特の現象で『好転する為の一過性の反応』なのです。
「今までピッタリ合った治し方が行われずにいた為に、体内に“病気のもと”がたまるばかりだったところへ、ピッタリ合った治療法に出合った身体は『ここぞ!』とばかりに一気に治ろうとします。その急激な変化が持ち主にとっては『エーッ!』という状態になるのです。この予期せぬ状態・症状が出現する事を『メンケン現象』と言うのです。」と私は説明します。
つまり、「ピッタリの治し方である」という証拠の現象なのです。でも残念ながら「結果としてピッタリでしたネ」という『結果論』なので、その現象が出ている間は“不安”と“不信”と“不満”の気持ちが発生します。
でも、「排泄の医学」とか「メンケン現象」という漢方の仕組みを正しく知っていれば、上手にその時期を乗り越えられますし、『又、メンケン現象が起きたと言う事はピッタリの治療法である』という事ですから、メンケン現象の終った後は、(皮膚病以外は)速やかに症状が消失するケースがほとんどです。
例えば、「漢方薬を飲み始めて3日間ひどい下痢をしたら、その後は10年以上苦しんでいた鼻づまりが全くなくなっていた」という40代の男性や、「腰痛で針灸治療をしたら、10年前に閉経したはずの生理が来て、それが終ったら腰痛が治っちゃった」という60代の女性のケースもありました。

[2]“私”の漢方の『取り組み方の根本』を知って下さい。
(1) 本来どういう状態が正常なのかを確認します。
  1. 食欲
  2. 睡眠
  3. 大・小便
  4. 女性の生理
  5. 男性の性欲
  6. 精神面
  7. 身長・体重・体型・髪・肌 などの外見 等々
(2) うまくいっていない時の漢方的原因を発見します。
  1. 虚実のものさしで
  2. 陰陽説のものさしで
  3. 五行説のものさしで
  4. 気血水学説のものさしで
  5. ツボ・経絡のものさしで     チェックして正常範囲とのズレを発見します。
    (これらのものさしについては、「古村和子流漢方のページをご参照下さい。)
(3) 現在の状態を(1)の「正常な状態」とのズレで異常の程度をチェックし、(2)で「漢方的な原因」を発見したら、7本柱(漢方薬・針灸・漢方美容・漢方流食生活・漢方流日常生活・漢方心理療法・漢方運動療法)で治療作戦を立てます。
(4) 私は、「まず、漢方の目で見た病気の原因と治し方をお伝えするべく、わかり易く説明する事」を大切にしています。何故なら、
[理解する][納得する][結果が期待出来るから、治療作戦を頑張ってやり続けられる][好結果が得られる]という法則性があるからです。
その為に私はむづかしい漢方を、とにかくわかり易く解説しています。
@ S.59から6年間発行した三健堂漢方情報
(全61部)
目次・索引付きのファイルにしてあります。
A 私が講師をしている漢方塾の教材
私の考え方と治し方のノウハウを、テキストやカードにして全てを公開しています。
B 「著書紹介」のページに載っている私の小冊子
漢方で治すコツや知らなきゃ損する健康法を、B5判20〜60ページに次々とまとめています。
(5) 緊急を要する時は手術や鎮痛剤・抗生物質・ステロイド剤などの西洋医学のシャープな方法を行って、それを漢方でバックアップ(援護)したりフォローしたりする立場を守りますが、急性期を過ぎたものや慢性的な症状・こじれていたりいくつもの病気や症状をかかえている人には、経験上やはり『漢方のとらえ方と取り組み方の方が好結果を期待出来る』と痛感していますので、是非古村和子流の漢方をやってみてほしいです。
(6) ほとんどの「身体と心の病気」の原因は、今までの精神的負担や精神的ダメージが大きく影響しています。ご本人とそのご家族を丸ごと漢方的にとらえて、その心を漢方的に支えるのが私流です。古村和子のカウンセリングルームである『道しるべ』のページと、ミニ小冊子『道しるべ』をご参照下さい。又、メールやFAX・お手紙でのご相談にも細かくお答えする努力をしておりますので、勇気を出してアクションを起こして下さい。
(H13.7.23 記)
文:古村和子
戻る