便秘
あなたの便秘対策はまちがっていませんか?
 朝、起きぬけに冷たい水や牛乳を飲んで腸に刺激を与えることが効くと思っている人・生野菜や果物をたっぷり食べることが良いと思っている人・漢方便秘薬ならクセにならないと思っている人・センナは漢方薬だから安全と思っている人……本当に多いですね。これは全部誤りです。
 又、<便秘→下剤>というやり方が一般的ですが、本当は下剤は補助的手段なんです。正しくは、便秘の原因を解決する漢方薬と生活習慣を直すことが大切です。ですから、下剤を飲んでいる人の便秘はなかなか治らないのです。
 又、漢方の下剤は正しく選ぶととてもよく効きます。するとつい"下剤だけ飲めばいい"と思ってしまうものです。でもそれではいつまでも便秘症と縁が切れず、春や秋・冬の寒い時は外気温が下がるだけで悪化し、夏は冷たいものを口にするだけでもとの状態に戻ってしまいます。
  『便秘が治る』というのは、『自力排便出来る様になる事』。しかも「毎日朝食後、肛門が汚れない位の硬さの、大きいバナナ1本分の便が、ツー・ストンとスムーズに出る」のが良いのです。

A:漢方のとらえ方
< 便秘 ⇒ 宿便 ⇒ 太る >
 一体誰が言い出したのでしょう。誤った情報ほどこわいものはありませんね。
 宿便という言葉は、イメージにピッタリ合い、便秘で困っている人に対しては説得力がありますが、便秘と宿便は全く別ものです。(便秘は大腸にたまっている便・宿便は小腸の繊毛に付着している物で、宿便は下痢する人にもあります。)

≪虚実・陰陽を見分け、自力排便を目標に。≫
便秘と言っても漢方の目でみると全く相反するタイプに分かれ、各々治し方が全く異なりますので要注意。
大きく硬い便・1日でも出ないと苦しいタイプの便秘は 「実(じつ)」の便秘
ウサギのフンの様なポロポロ便や、それがブドウの房状にかたまっている便・
細くて小さい便・何日も出なくても平気なタイプの便秘は「虚(きょ)」の便秘
腸に熱を持っていて、冷たい飲食物で冷やすと良いのは「陽(よう)」のタイプの便秘
腸が冷えていて、あたためなければ解決しないのは「陰(いん)」のタイプの便秘で、このタイプが大多数です。
便秘は、ニキビ・肌荒れ・肩コリ・高血圧・痔・生理不順・頭痛・顔のほてり、冷え・肥満などの様々なトラブルと関係が深いので、 便秘のタイプや原因と治し方のコツを知って、上手に治して下さいネ。
≪センナの怖さは想像以上。絶対やめて!≫
 最近、センナだけを売るお店ができたり「センナは漢方薬だから安心」とすすめるお医者様がいたり…と、センナを知る者にとって頭の痛い事が多々あります。
  センナは最も強力な下剤ですから、腸の力を低下させ、長年服用していると腸がだんだん自力で動かなくなり、センナさえも効かなくなってしまうのです。大腸が動かなくなってお医者様や助産婦さんに肛門から便を掻き出してもらっている実例もあり、正しい治療の大切さを痛感します。 古村和子流『センナ離れ作戦』で、一日も早くセンナをやめて下さい。私からのお願いです。
B:治療作戦
漢方の目でみた原因をみつけて、それを解決すれば順調に治り、自力排便が出来るはずです。
  タイプ 原因・状態 治し方のコツ
1 腸が冷えている 冷たい水や牛乳・果物・生野菜・ビール・ジュースなどで消化器が冷えて、腸の働きが低下している これらを摂らず、胃腸をあたためて排便を促す漢方薬を
2 腸に熱を持っている やたらにノドが乾く。腸の熱の為に便の水分が蒸発して硬くなり、出にくくなる 清熱作用のある下剤を飲み、冷たい物を飲食する(但し、やりすぎぬ事)
3 便を送り出す腸の力の低下 虚弱者や老人が、「便を送り出す腸の蠕動運動が低下」して便秘する 腸の力をつける漢方薬を冷やさぬことも大切
4 お血(おけつ)によるもの 生理前は便秘し、生理が始まるとお通じがついたり下痢する 駆お血剤(おけつ=古血を解決する漢方薬)を
5 神経性のもの 旅行中など、気を張ったり神経を使うと出にくくなるもの 気のめぐりをよくする漢方薬を
6 脾虚(ひきょ)によるもの 甘い物の摂り過ぎで、脾の運化作用が低下したもの 脾の力をつける漢方薬と甘い物の摂生を
7 金=肺=大腸の虚によるもの 風邪のこじれで熱が内にこもって便秘するものなど 呼吸器の病気を治し、更にそれを予防するとよい
8 体力の低下によるもの 手術などで極端に体力を消耗したり、後遺症で腸が活発に動かないもの・癒着しているもの など 体力をつけて、腸の動きを活発化する漢方薬を
まだまだあるんですよ。
 一口に便秘と言っても、こんなに 原因が色々あるのですから、 「1つの方法で全てを治すのは無理」「下剤だけで便秘を根本から解決するのは不可能」という事がおわかりいただけると思います。
  私のやり方は、これらの原因を解決する漢方薬を柱として、「おだやかで習慣性の無い漢方の下剤」を"助っ人"として併用するやり方です。
この他、こんな治し方も知っているといいですよ。
赤ちゃんの便秘
下剤を使わず、『綿棒にオリーブ油をつけて肛門にそっと入れ、前後左右に少しづつ動かして刺激』します。すると肛門がプーッとひろがり、便が出て来ます。
でも長く続く様なら漢方薬の本格的な治療が必要です。
小さい子供の便秘
食が細い子・やせた子・よく「おなかが痛い」と言う子・顔色の悪い子・手足の冷たい子・体力のない子・家の中で遊ぶことが多い子などに多いですね。
下剤を用いず、『身体をあたためながら体力をつけ胃腸の力をつける漢方薬』で、スムーズに排便するようになりますから、将来の為にもきちんと治しましょう。
妊娠中の便秘
強い下剤は流産の危険も。
『最もおだやかな漢方の下剤と、妊娠中に服用をおすすめしたい漢方薬を併用する』と、便秘だけでなく妊娠中毒症も防げ、全てが順調になります。
痔の人の便秘
とにかくゆるめの便にしないと痔が悪化してしまいます。
『痔に良い漢方薬(内服薬・坐薬・軟膏)と症状に合わせた下剤との併用』で、便秘も痔も解決します
高血圧の人の便秘
トイレでいきむと誰でも血圧が急上昇するものですから、高血圧の人にはとても危険です。
血圧には漢方薬が安全・確実ってご存知?
降圧剤は途中で中止すると再び上がってしまい、ずっと続けなければならず、副作用というおまけまでついて来てしまいます。が、漢方なら、『高血圧に良い漢方薬と便秘の原因を解決する漢方薬を併用』するので、高血圧という病気そのものが治ってしまい、降圧剤や漢方薬をのまなくても正常を維持出来る様になってしまうのです。つまり漢方のやり方なら高血圧も便秘も順調に改善されるのです。
老人の便秘
腸の力が弱まっている為の便秘なので、『腸をあたためて力をつける漢方の下剤』を。寝たきりの人でもスムーズに排便できるので喜ばれています。

C:早く治す為のコツ
 便秘には「朝起きぬけの冷たい水や牛乳、生野菜や果物……」は逆効果だとおわかりいただきましたよね。又、「漢方の便秘薬」や「センナ」も、便秘にはよくないという事もおわかりいただけましたね。
 そこで、もっともっと早く治す工夫をご紹介しますので、是非実行して下さい。
便秘に対する基本的な正しい考え方を持つ事が大切
便秘しない身体が当たり前。
毎日食べるのだから、かすは毎日出るはずです。「毎日きちんと出ないのは便秘」という正しい認識を持ちましょう。
「毎朝、気持ち良くたっぷり排便」が目標ですヨ。
「便秘即下剤」は危険です。
便秘という病気の原因をきちんと知って、その原因を解決しなければならないという事もおわかりいただきましたよね。
「『治療作戦』の所をよく読んで、 自分の原因を知り、それを解決する漢方薬を飲みながら、『助っ人』としての下剤を続け、やがてその「助っ人」が不要になる……というやり方が正しい方法」という事をしっかり認識するのが、早く治す為のコツの1つです。
但し、 その「助っ人」の下剤も大きな便かウサギのフンのような便かで使い分けますので、実力のあるプロに選薬してもらわないとネ。
「下剤の量を増やさないと出ない」「下剤の力を借りないと排便できない」というのは、誤った方法をしている証拠ですヨ。
漢方薬に加えて生活習慣の改善を
便秘の原因を解決するには、漢方薬だけでなく、生活習慣を治すことが大切です。
そして下剤は補助的手段ですので、誤った生活習慣を正すうちに、下剤は不要になります。
一年中『下半身の冷え』に注意する事。
素足・薄着(特に下半身)は、最悪です。
足もとが冷えていると、足を通って心臓へ戻る血液も冷えてしまい、腰腹部を冷やしてしまうので、便秘が重症化するからです。
便秘のタイプにより、飲食物を見極める必要があります。
腸が丈夫で熱を持っているタイプの人(陽実タイプ)→起きぬけに冷たい水や牛乳を飲んだり、生野菜や果物をたっぷりとるやり方をします。
ただし、 ある程度出るようになったら、身体と食べ物の陰陽のチェックをしないと、 陰虚タイプに変わってしまい、この方法が逆療法となってしまいます。
腸が冷えて弱っているタイプの人(陰虚タイプ)→ 「水分は控えめに。しかも飲む時はあたたかい物を」の注意が大切です。 「野菜は火を通した物を・果物は極力とらない」という事が大切なポイントです。
クーラー・シャワー入浴は要注意。
クーラーは現代人の必需品ですからダメとは言えません。
でも、クーラーで冷やした上に飲食物で冷やしては、便秘だけでなく様々な病気を引き起こします。 『冷えは万病のもと』ですから。
私のお勧めは 『その日の冷えは、その日に取ろう!』です。
クーラーで冷えた日の夜は夏も湯舟につかり、じっくりあたたまって下さい。
暖房は『ホットカーペット&毛布』をお勧め。
エアコンやストーブは、天井の方があつく床面は冷たくなり、「足もとスースー・顔ポッポ」の「冷えのぼせ」状態をつくり出し、これも「万病のもと」になります。
又こたつは、足もとはあたたかいのですが、腰やお尻は冷えてしまいます。
私の提案は 「ホットカーペットの上にテーブルを置き、その間に毛布を一枚。」
この毛布がポイントです。
一度やってみて下さい。とってもあたたかく、便利ですよ。又、便秘の人や痔の人・生理痛の人などは、ペタンと坐ったり腹ばいで寝ころんだり・腰痛の人は仰向けに寝てみて下さい。けっこう楽になりますよ。
排便の習慣をつけるのがコツ
朝食(火を通した野菜たっぷりのあたたかい物)をきちんと食べる事。
胃結腸反射(胃に食べ物が入ると連動して腸が動き出す)によって便意を催したら「タイミングをのがさずすぐトイレ」へ。 「1分間排便法」を守るのがコツの1つです。
「便意を我慢する」のが最もいけないこと。朝は10分早く起き、ゆとりのトイレタイムを心がけましょう
排便しやすくする為の工夫
下腹部の「のの字のマッサージ」
出にくい時は肛門のまわりを下から上に押し上げながらいきみます。
朝、起きる前に背中にある胃のツボから腸のツボにかけて上から下へと刺激すると、便意をもよおし、スムーズに排便出来ます。
肘を曲げた時に出るシワの先端にある「曲池」(きょくち)というツボを刺激するのも効果的。トイレで『肘を伸ばしてギューッと強く強く』押して下さい。大腸につながっているツボなので、大腸が動き出しますヨ。
以上をまとめると 「便秘の原因を解決する漢方薬を柱として、虚実・陰陽によって選んだ優しい下剤を助っ人とし、衣食住を漢方的に工夫すると、みるみる便秘が治る。」という事です。
食生活の工夫や漢方のとらえ方については、私の本「どんな病気もみるみる治る 漢方流食生活」(東洋出版)をご覧いただけると、わかり易く、ご理解・納得していただけると思います。
(H13.11.16 記)
文:古村和子
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